我が講師人生、最強だった女。~勉強は嫌いだが、いい大学には入りたい~


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みなさんこんにちは。高上代表佐藤一行です。出先の塾の仕事、夏はそんなに詰め込まれていなくて、開放感でいっぱいです。会社や家族のために朝から晩まで働いている同僚を尻目に、私は今から夏休みを楽しみにしております。企業戦士とは言ったもの。たくさん働いて、自分の時間を犠牲にしてまで沢山お金を稼ごうという人生と、多くのニュージーランド人たちのように、夜9時には寝て次の日朝7時までゆっくり休んで、のんびり日々の生活を楽しむ人生。どちらがいいのかと問われたら、その答えは私にはそれこそ明白ですが、そのどちらも私の理想とは違うと言うに留めて、今日は少し昔話をします。          

~我が講師人生において最強だった女~

         

序章

正直な話、私は普段生徒の英語能力に驚かされることなどありません。みながみな、『どんぐりの背比べをしているかわいい生徒たち』といった印象を与えてくることが大抵ですし、たまにできると思っても、それは受験英語での話。実際に英語を「話す」という視点を入れてこそ、英語ができるというものなので、英語ができると驚かされることなどないのです。(もちろんそれは、帰国子女も含めての話、です。あれくらいで英語ができると思われたら大間違いですね。) 最出会った時、彼女もそんな女子高生の一人でした。

① 登場。

「勉強きら~い。」「やりたくない」 高校三年生になって、ちょうど今の時期、7月くらいでしょうか、彼女は現れました。そして最初に会った時から、最後に旅立っていく時まで一貫して彼女はこう呟き続けていました。私にとって、やる気のない生徒に出会うことなど日常茶飯事。金銭を受け取っている以上、いかにしてやる気を出させるかが仕事なわけですが、彼女も例に漏れず、なんにもやる気のない学生の一人でした。 『勉強は嫌いだけど、いい大学には入りたい。』若者にありがちな、矛盾としか言えないような願望を彼女も持っていたのでした。

② いつものこと。

私は本人の話を聞きつつも、どの程度やる気がないのかを見定めながら、しかりつけることなく、必要なことを諭していました。要は単語の暗記です。そうして、単語を暗記させてはいるのですが、彼女は宿題をほとんど全くしてこない。とりあえず高いお金を払っている親御さんのために、仕方なしに、私の指導を受けに来るだけ。来ても大半とりとめのない雑談をして、帰っていく日々でした。

③模試の洗礼。

そんな彼女も三年生。模試は受けなければなりません。日本史も例によって全く勉強していないとのこと。 「あ~あ。明日模試だなぁ。勉強しなきゃなぁ。」 彼女はそう呟いて、模試に臨んだのでした。  

④現実を知るはずが。

洗礼を受けるのが普通です。一夜漬けでは、模試の成績など上がらない。しかし彼女は、なぜか河合の全統記述で、偏差値をどの科目も65前後を叩き出したのです。 ただ、所詮は河合の全統記述での偏差値65。それよりできる生徒はゴマンといます。 私は、 「この娘はなかなか記憶力がいいんだなぁ」 くらいに考える程度でまだまだ彼女の能力を軽く見ていたのです。 高上の英検の家庭教師

⑤英検準1級への挑戦。

相変わらず勉強が嫌いな彼女。二言目には、ぶつぶつと受験勉強がいかにつまらなくて、無意味なことなのかと私に語ってくるのは相変わらずです。ただし、受験のことを考えたら、英検準1級を取得するに越したことはない。 私は、彼女に勉強の厳しさを教える意味でも英検準1級の受験を勧めました。 「落ちたら良い薬になるだろう」 そう思っていたのも事実です。  

⑥試験前夜。

相変わらずろくに単語を覚えていない。宿題もしない。本人が言うに、「なんにもやる気がしない」とのこと。私はその時の合格は半ばあきらめていました。 「あ~あ。こんなに単語覚えてないなら今晩は勉強しなくちゃいけないなぁ」 という彼女に対し、 「試験前日にやっても仕方ないから、さっさと寝れば?」 「けどなぁ……。」 と呟いて彼女は帰っていきました。  

⑦驚嘆。

それまで生徒に驚かされることなどなかった私。それが結果を聞いて驚きました。彼女が受けたのはまだ旧試験のときでしたが、英検準1級の筆記試験で、合格者平均を15点も上回っていたのです。 このときはじめて私は、 「この娘は普通の学生とは違う」 という認識を持ちました。英検準1の厳しさは、私が昔受験して十分感じていたからです。  

⑧やる気は相変わらずない。

英検準1級の二次もそつなく受かった彼女。直後に「できた気がする」と言っていたので私はもう何も驚かされませんでした。 普段高校の定期試験も一夜漬けで点数を稼いでいた彼女は、その頃はすでに某有名私大に推薦で進学が決まっていました。 それでも、やはり勉強を好きになるわけもない。 相変わらず 「勉強はつまんない」 「ダルイ」などと口走っています。 私はたしなめることなく、彼女の次の目標であるTOEICに照準を絞りました。といっても毎回宿題をしてこない生徒だったので、授業の大半は演習です。 そんなこんなをしていたら、センター試験がやってきたました。対策は0。センターの過去問など、開くことはおろか、そもそも買ってなかったように記憶しています。 センター試験は、もう推薦で進学が決まっているので受ける必要などなかったのですが、 「お金を払っちゃったからとりあえず受ける。」 と。そんなこんなでセンター当日を迎えました。 高上のTOEICの家庭教師

⑨ 試験直後

雪のよく降る夜でした。センター試験の筆記試験を受け、 「リスニングはダルイ」 とさぼって、私の指導場所に現れた彼女。文法でちょっと不安なところがあると言われ見てみたら dream to~という間違いの選択肢に引っかかっていたのでした。 「dream to~ なんてないでしょう? ofだよ」 「確かに変だとは思ったんですけど、なんか選んじゃった。」 他にも2つ文法のミスがあり、さすがに私も対策なしに受けたら結構失敗したのかなぁと思っていました。 そしたら、後日自己採点した結果は 192点。ミスしたのは上記の配点の低い文法問題3つのみ。遊び人の同級生の女子高生に1点差で負けたと悔しがっています。 懸命に駿台の実践問題集などを解きこなした生徒たちが緊張して170点を超えるのがやっとのときに、家では何の対策も勉強もせず、しているのは私の指導中の演習のみのような状況でこの点数。 個人の能力差とはあるものだと痛感した1日でした。  

⑩TOEICの受験。

流石に受験よりもレベルも高く、分量も多い、TOEICでは苦戦を強いられていた彼女。それでも相変わらず勉強は嫌いで、某電気量販店に、携帯音楽プレーヤーを置き忘れ、盗まれたと言ってむくれています。 ただ、もう大学に進学できることは確定していたので私としてものんびりとゆとりをもって指導できました。 そして3月に高校生活最後のTOEICに臨んだのです。相変わらずろくに勉強していません。 結果が出るのは1か月後。 彼女は関東に行くにあたり、 「近くにお墓があってコワい」 と言い残し、私の指導を終えて、去って行ったのでした。

⑪最後にまた。

関東に移り住むようになった彼女。点数が出たとのことで私に知らせてくれました。 結果は890点。 これをどうとるかは、個人の自由ですが、私の勝手な推測をしますと、残念ながら現行のTOEICでは、『塾業界の指導者』が何の準備もなしに受験した場合、大半の人が届かないでしょう。 そしてここまで読んで、 『実はその生徒は家では勉強していたんじゃないの?』 と思われる方がいるかもしれませんが、断言できますが、間違いなく勉強などしていません。性格的に。 そして、私からすれば、「努力をすれば報われる。」とか、「努力をしないで成功するものなどいない」などというのは迷信なのです。  

⑫ ~後日談~

現在は大学生活をそれなりに楽しくしている様子の彼女。 「先生のもとを離れてからTOEICの点数が下がった。単位が免除になんない」 などと屈託もなくメールをよこします。 そんな彼女ですが、今、一つ新たな壁に直面してるようです。それこそ、一夜漬けでは決して乗り越えられないような壁に。 『勉強はやっぱり大嫌いだけれど、親が高いお金払ってくれているのだから少しは勉強しなくちゃ』 という思考は相変わらず。 ただ、私は言ってやりたいのですが、人生の壁など、時に越えられなくてもいいのです。努力をあまりしなかった結果、失敗したとしてもそれはあたり前の話。 「機会があったのに、勉強をしなかった」 ことを心底認めれば、それはまた次へとつながる。 ステキな出会いがあったり、楽しい経験をしたり、悲しくて涙を流したり。 そんな人生経験は本人の人生において糧となる。 それが大学というもの。 だからこそ、今の壁に対して、恐れる必要もない。突破しなければ先がないなどと、気負う必要もない。 大学時代に「もっと遊んでおけばよかった」と後悔している私としては、彼女にそう言ってあげたいのです。 自分のことを 「ダメな人間だ」 などと決して思わないでほしいのです。                                    

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